シリンジ市場は、予測期間中に約10.1%のCAGRが予測され、2020年の売上は約13,852百万米ドル、2033年には24,920百万米ドルに達すると予測されています。

COVID-19により、COVID-19ワクチンの開発の高まりが見られ、注射器の需要増につながると考えられています。2020年1月、Biomedical Advanced Research and Development Authority（BARDA）は、米国内だけでワクチンを投与するために6億5000万から8億5000万の針と注射器が必要になると推定しています。その結果、注射器の需要は増加すると予想され、市場の成長を後押しする可能性があります。

シリンジ市場の成長を促進する主な要因としては、慢性疾患や感染症の有病率の増加、治療用途でのボトックスの使用量の増加などが挙げられます。国際糖尿病連盟の2019年版レポートによると、糖尿病を患う人の数は2019年の4億6300万人から2045年には7億人近くに増加すると予想されています。慢性疾患の診断・治療技術の多くは注射器を必要とし、検査や薬剤投与の際に重要な役割を果たすため、その需要増につながると考えられます。

さらに、注射薬の採用の増加、注射器の技術的進歩、老人人口の増加、ワクチン接種や予防接種プログラムの増加も、今後数年間の数量増加を促進すると予測されます。World Population Prospects 2019報告書（国連、2019年）によると、2019年の世界の65歳以上の人口は約7億300万人でした。2050年には高齢者人口が15億人に倍増すると予測されています。世界的に見ると、65歳以上人口の割合は、1990年の6％から2019年には9％に増加しています。さらに、2050年には、世界の約6人に1人が65歳以上となる見込みです。今後、世界的に高齢者人口の増加が見込まれ、高齢者のハイリスク要因である慢性疾患は市場を牽引していくと考えられます。

一方、針刺し事故の増加、安全注射器に関するコストの高さ、代替ドラッグデリバリー方法の利用可能性などが、注射器市場の成長を阻害する可能性があります。

主な市場動向

プレフィルドシリンジは予測期間中、高い成長率で貢献すると予想される

プレフィルドシリンジは、注射薬用のドラッグデリバリーシステムとして市場に受け入れられつつあります。プレフィルドシリンジにはすでに薬剤が充填されているため、正確な投与が可能です。これらは、一般的に様々な薬剤の非経口投与に好まれ、主に癌や糖尿病などの慢性疾患の治療に使用されています。

COVID-19の発生は、プレフィルドシリンジの需要増加にもつながっています。2020年11月、アピジェクトは、米国国際開発金融公社から5億9000万米ドルの融資を承認され、サプライチェーンの制限なく、年間最大30億本の単回投与プレフィルドプラスチック注射器を生産できるサージ能力を備えた米国拠点の施設建設を支援すると発表しました。アピジェクトの新キャンパスには、COVID-19用のワクチンや治療薬を充填し、仕上げるための15の製造ラインが設置されます。

さらに、多くの製薬会社が自己投与療法の進歩の導入に注力しています。医療従事者や患者さんの間では、ガラス製プレフィルドシリンジからプラスチック製プレフィルドシリンジへの移行が見られます。プラスチック製プレフィルドシリンジは、ポリプロピレンや透明なポリマーなど、シリンジの他のコンポーネントと生体適合性のある高度なポリマー材料の導入により、より一般的になってきています。

したがって、前述の要因に加え、高齢者人口の増加により、同市場は急速な成長を遂げると予想されます。

アジア太平洋地域は予測期間中、健全な成長を遂げる見込み

アジア太平洋地域の注射器市場は、予測期間中に健全な成長を遂げると予想されます。経済状況の改善、国民の購買力の向上、プレフィルドシリンジの利点に関する意識の高まり、さまざまな慢性疾患に苦しむ大規模な患者プールの存在といった要因が、アジア太平洋地域の市場を牽引すると予想されます。

市場参加者は継続的に製品の上市に注力しており、それが同地域の市場成長を促進しています。例えば、2019年8月、3SBioの子会社であるSunshine Guojian Pharmaceuticalは、エンブレル（エタネルセプト）のバイオシミラーであるYisaipuを、強直性脊椎炎の治療用プレフィルドシリンジとして中国で承認されたと発表しています。

さらに、コロナウイルスの流行により、同地域では注射器の需要が高まっています。COVID-19の大流行により、多くの人が病院に収容されるようになりました。これらの入院では、血液サンプルを用いたさまざまな検査や、ウイルスによる症状を抑えるためのさまざまな薬剤の注射が行われるため、市場の成長をさらに加速させるものと期待されています。

競合他社の状況

注射器市場は、国内外に多数のプレーヤーが存在し、非常に細分化されています。主要プレイヤーは、パートナーシップ、契約、提携、新製品の発売、地理的拡大、合併、買収など、市場の存在感を高めるためにさまざまな成長戦略を採用しています。例えば、2019年 - Fresenius Kabi社は、米国でSimplist ready-to-administer prefilled syringesの2mLあたり6mgと4mLあたり12mgの単回投与でAdenosine Injection, USPを発売しました。

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